みなさんどうもこんにちは、テニス大好き、【ラム】です。
いやはやとんでもない激闘でした。
試合を見た方なら、共感して頂けると思いますが、「あ、フェデラー負けたな」という瞬間が何度あったことか笑
私は、完全にフェデラーの負けパターンだなと思いながら見ていました。
常に先にブレークされ、ミルマンに主導権を握られ続ける展開に。
最後のスーパータイブレークでも4-8まで持って行かれて敗北まであと2点というところまで行きました。
ブレイクポイントやタイブレークといった要所を落とす最近のフェデラーが、ここで粘って勝てたのは今後のフェデラーにとっても非常に大きな自信につながると思います。
ということで、喜び勇ましく、試合を振り返っていきましょう!

スタッツから見える激闘;タイブレークをもぎ取ったフェデラー
ジョン・ミルマンはオーストラリア出身の選手で現在世界ランクは47位。
30歳になる中堅の選手です。(因みに錦織圭も30歳になります。)
自己最高ランクは33位と、あまり突出した成績は残せていないように見えますが、実は一昨年の全米オープンでフェデラーを破っていたりする、中々侮れない選手です。
ミルマンはフェデラーの速い展開を嫌がらず、むしろそれにきちんと適応して返すことができる選手で、フェデラーからするとやりにくい相手であります。
さて、次に簡単にスタッツを見てみましょう。
ジョン・ミルマン
ロジャー・フェデラー
|
11 | エース | 16 |
4 | ダブルフォルト | 6 |
62% | ファースト サーブ率 | 65% |
68% | ファースト サーブ得点率 | 77% |
64% | セカンドサーブ得点率 | 57% |
4/8
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ブレイク ポイント
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3/10
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0 | タイブレイク勝利数 | 2 |
55 | リターンゲーム得点数 | 66 |
178 | ポイント | 181 |
28 | ゲーム獲得数 | 28 |
3 | 連続獲得ゲーム数 | 3 |
5 | 連続獲得ポイント数 | 7 |
123 | サービス ポイント率 | 115 |
24 | サービスゲーム獲得数 | 23 |
ご覧の通り、項目ごとに両者優劣が分かれていて、とても拮抗していた名勝負であることがわかります。
サービスゲーム獲得数も、ブレイクポイント獲得数もミルマンの方が多く、試合に勝つべきはミルマンだったということがみて取れますが、最終的に勝ったのはフェデラーです。
その答えは、タイブレーク獲得数に集約されています。
要するに、昨年ウィンブルドンで決勝でジョコビッチにフェデラーがやられた、“タイブレークの要所を取って逃げ切る”ということがうまくいったという典型例になります。
(最も、ジョコビッチのように「ギアを上げて」取りに行ったという訳ではなく、勝利を意識したミルマンが硬くなってしまいミスを連発したことにより、運良く取れたものと考えられます。今回の相手がミルマンでなくジョコビッチならば、残念ながらフェデラーはタイブレークを今まで通り取られていたことでしょう。。。悲観的でごめんなさい汗)
試合内容;ミルマンの粘り強い攻めが凄まじかった 4-6,7-6(2),6-4,4-6,7-6(8)
私は今回の試合、フェデラーよりもミルマンのガッツあるプレーの数々を賞賛したいと思います。
ミルマンがとにかくすごかった。
とにかく堅実で粘り気のあるプレーをしていた
それも、普通、粘るプレーといえば、「守り」を想像してしまうが、ミルマンは粘った守りではなく、粘った『攻め』をしていました。
辛抱強く攻め続けて、じわじわとフェデラーのスタミナを減らす。
フェデラーも、それに対して得意の速い展開で攻めて主導権を握ろうとしていたが、ミルマンはそれに対して守りに入らずに、攻め返し続けました。
その結果生まれたのが、両者一歩も引かぬ激しいラリーの打ち合いです。
この試合、ストロークの調子がイマイチだったフェデラーに対して、ミルマンがこのプレースタイルで勝負するのは、これ以上ないベストな選択だったように思います。
しかし、後付けになってしまいますが、結果ミルマンが要所を取りこぼして負けたことから鑑みると、ミルマンは今試合やり通した「粘り強い攻め」と同時に、チチパスやティエムのような『力強い、有無を言わさぬ一発の攻め』を混ぜれば確定で勝てていたのではないかと思います。
今のフェデラーは強打が嫌いだからです。単純に撃ち負けるという悲しいフェデラーになってしまわれました。
今回のミルマンのひたすら攻めの姿勢をとり続けるプレースタイルは強力ですが、それだとどうしても単調になり、フェデラーも対応しやすく、また場を制圧するだけのエネルギーが無いように感じました。
しかし今回のミルマンの球の当たりは音からも分かる程、明らかに良かったです。。
反応スピードもかなり良く、ゾーン入っていたか、限りなく近い状態にあったのだろうと思います。
一方、フェデラーの調子は正直そこまで悪くはありませんでした。
ミスは早かった部分も見受けられましたが、まあ今のフェデラーのテニスから見ると実際割と平常運転気味だったなと思います。
10をマックスとすると、6.5ぐらいの出来だったのではないでしょうか。
ちなみにミルマンは9ですね。
(フェデラーのマックス10とは2006、7年あたりの全盛期を指しているので、10が出ることはないです笑)
フェデラーは途中から、ラリーでは埒が明かないと思ったのか、ネットを使ったりドロップを打ったりとどんどん引き出しを開けて多彩なプレーに変わっていきました。
しかし、フェデラーが前に出てきても、抜群のフットワークで追いついたミルマンは、パッシングを打ってフェデラーを抜き去ります。
フェデラーが負けたと思った瞬間
最終セットのタイブレーク(10ポイントマッチ)は衝撃でした。。
ミルマンの連続パッシングショット。
フェデラーはやはり、勝負を焦るとネットに詰め寄る傾向があります。
素人の私でも気がつくぐらいですから、トップ選手間では周知の事実になっていることでしょう。
ミルマンもきっと、タイブレークで勝負を焦ってフェデラーが前に出てくることなど分析済みも良いところで、頭の中に入っていたんだと思います。
フェデラーはこのタイブレーク、しっかりとしたアプローチをした上で万全の体制で前に出ましたが、
フェデラーがこういった場面で前に出てくることを読んでいた上に、おそらくこの時ゾーンに入っていたミルマンに追いつかれ、綺麗に抜かれて気がつけば4-8。
絶体絶命の状態になりました。
普通のタイブレークならもう負けています。
フェデラーも試合後のインタビューで、「通常のタイブレークじゃなくて良かった笑」と言っていました笑
4-8になったこの瞬間、「あ。負けたな」と思ったフェデラーファンは正直100%だったのではないでしょうか笑(笑えないか)
フェデラーファンは、フェデラーがこういった場面であっけなく力なく負けてしまう、あるいは、何ポイントかだけ取って私たちに夢を見せてから、あっけなく散っていく姿を何度も見守ってきました。(特に昨年のウィンブルドン)
私も、完全に負けを確信していました。
もちろんフェデラーの勝利を望んでいましたが、最近のフェデラーの状態を考えると2ポイント位巻き返して負けるのがいつものパターンだろうと思ったからです。(かなり失礼ですが)
しかしここにきて昨年のウィンブルドンのタイブレークの経験が生きてきたのでしょうか。
勝利が見えて硬くなるミルマンとは対照的に、フェデラーは淡々とプレーを進めていきました。
そして迎えた最後のミルマンのショット。
ミルマンが叩き込んだグランドスマッシュのコースを読んだフェデラーが、とっさに動いてコンパクトスイングでオープンコートに返して勝利。(その一本前のみるマンの球も、チャレンジしませんでしたが実はアウトだったんじゃないかと睨んでいます)
おそらくベストを尽くしたという達成感があったのでしょう。
最後の最後まで攻めることをやめなかった男ミルマンの、負けたときの「やれることはやった、しょうがない」といった感じの潔い顔に痺れました。
負け方も大事だと再確認させられた一瞬です。

ミルマンの「強い」テニスとフェデラーの「旨い」テニス
話は少しそれますが、、
ミルマンのテニス、観ていた方なら共感してくださると思いますが、「強い」テニスでしたよね。
ガチガチの強いテニスプレイヤーという感じで、そこに「華」や「旨さ」はあまり感じられません。
日本の大多数のテニスプレイヤーも、プレースタイルとしてはこのミルマン型の部類に入ると思います。
強い球を打つためのスイング、アジリティの強化に取り組んだ跡が見られる力強いフットワーク。
一生懸命に打つストローク。
全てが一生懸命やっているように見えてしまう。
確かに強い、強いけど、、、、それだけで、なんというか「華」がない。
「旨さ」が感じられない。
「芸術性がない」と言い換えても良いかもしれません。
フィギュアスケートでトリプルアクセルをする選手が、回る直前必死そうな力んだ顔や声を出すでしょうか?
出しません。涼しい顔で当たり前のように回ります。
「フィギュアスケートじゃないんだから芸術は関係ないだろう」と言われれば確かに仰る通りなのですが、、、
フェデラーとミルマン、今日の試合の中では力関係は明らかに互角、いや実を言うとミルマンの方が押していた場面が多かった。
しかしそんな両者には明らかに違いがありました。
それが「華」です。
ミルマンは典型的な「強い」テニスプレイヤーという感じのプレイスタイルと風貌なのに対し、フェデラーはそんなことを感じさせません。
難しいことをしているように見えない。
真の一流は、難しいことを如何にも簡単なように見せます。
ミルマンは一球一球必死に走り回って一生懸命打ち込んでいるのに、フェデラーはそんなことを一切感じさせず、涼し顔をして同じクオリティの球を返しているのです。
たとえフェデラーとミルマンが同じ実力であったとしても、たとえばミルマンが優勝するのと、フェデラーが優勝するのとでは、現実問題、歓声の量が変わってしまいます。
それは「華」すなわち、「観客を引き込む力」がフェデラーの方があるからです。
つまり私がこれでけグダグダ書いて、結局何が言いたいかというと、テニスもそうですが、何事においても実力以外に雰囲気や見た目も大切だということです。
「そんなのは関係ない試合に勝てればそれで良い」と思った方も多いと思います。
私もその考えにも賛成です。
試合をする以上価値にこだわるのは当然のことです。
テニスはフォームの美しさを競う競技ではない。
しかし、今日試合を見ていてなんとなく思ってしまいました。
やっぱりフェデラーの方が明らかにテニスレベルに関係なく、人を惹きつける何かがあると。
そしてそれは、所作を始め、プレースタイルに現れていると。
やはり見た目が大切なんだという現実を再確認した次第であります。
何をするにも『必死さがない』というところにも表れているのかもしれません。
努力を感じさせない、難しいことを軽々とやってのけるところに、人は魅力を感じ、華を感じる。
私はここで「見た目も気にした方が良いよ」という浅い話をしたいのではなく、
魅力を出すには、努力を隠し、本当はキツイと思っていることでも余裕そうに振る舞う。
つまり、外見を作っていくことが、魅力的になる近道なのではないかということを共有したかったわけです。
勿論、世の中には様々な魅力があり、華があります。
尾崎豊のような泥臭い華もあれば、フェデラーのようなエレガント全振りの華もある。
私はフェデラーが大好きなので、フェデラーのような華が出せるように、テニスや普段の生活諸々を含めて考え直していきたいなと試合を見て思いました。
試合内容と全く関係ないことを書いてしまった、、、まぁいいか笑
まとめ
フェデラー、土壇場で踏ん張り無事4回戦進出ということで、ひとまず本当に良かったです。
内心、完全に負けを覚悟していたので、勝ち上がっただけで、もう1試合フェデラーの試合を見ることができるだけで、万々歳です。
ここから先はボーナスステージのつもりで観戦します。
負けて元々です笑
次戦はフクソービッチ選手。
世界ランクは67位ですが、昨年錦織圭を倒した経験もある、侮れない選手です。
バシバシと恐れずに攻めてくるタイプの選手なので、フェデラーがムキになって打ち合いなどをしてうまくフクソービッチにハマってしまうと、負ける可能性も十分あり得ます。
しかし、今日勝ってくれただけで良いではないですか笑
もう私は十分幸せです。
とにかく、フェデラーにはゆっくりと休んで頂いて、次戦に備えてもらいましょう。
この歳でまだ5セットをガチガチでやり合えるなんて本当に恐ろしい人です。
勝ったのが嬉しすぎてつい記事が長くなりました笑
ここまで読んでくれてありがとうございます!
それではまた、次回の記事でお会いしましょう!!
fin.